不在者の第1順位の相続人でなくても失踪宣告可能/韓国の法律情報
不在者の第1順位の相続人でなくても失踪宣告可能
(出展:韓国法律新聞 2022/1/26)
※韓国の税務・経済・法律情報から注目のトピックスをピックアップし、日本語に翻訳してお届けします
遺産分割協議は共同相続人全員の合議が必要です。今回は、相続人の中に不在者があった場合の韓国法律新聞の記事をご紹介します。記事の中にも登場しますが、韓国では子供の配偶者も代襲相続人になります。日韓相続の違いについてもっと知りたい方はこちらのチャンネルもご覧ください。
[決定]不在者の第1順位の相続人でなくても失踪宣告可能
相続財産処分のため不在者に対する失踪宣告の際、不在者の第一順位相続人でなくても失踪宣告の請求ができるという裁判所の決定が出た。失踪宣告なしには相続財産を処分する方法がない請求人の立場と状況を考慮するという趣旨だ。
ソウル家庭裁判所 家事23単独 シンユリ判事は、不在者の義兄(妻の兄)のA氏が請求した失踪宣告事件で「不在者は失踪して1995年4月失踪期間が満了したので失踪を宣告する」と最近A氏の請求を認容した。
A氏は死亡した母の名義になっている不動産の相続登記をしようとしたが、3兄弟のうち20年以上前に死亡した妹の代襲相続人である義弟(妹の夫・この事件の不在者)を見つけることができなかった。
遺産分割協議は共同相続人全員が同意しなければならないため、義弟の同意を受けなければならないが、ドイツ人である義弟がドイツに帰ってからは連絡が絶たれたので生死もわからない状況だった。
A氏はやむを得ず義弟の失踪宣告請求をしようとしたが、義弟の第1順位の相続人ではないという理由で請求人の適格が問題となった。
既存最高裁判所の判例(92す4、92す5、92す6決定など)は、不在者に対して失踪宣告請求できる利害関係者は、その失踪宣告により一定の権利を得て義務を免れるなどの身分上又は財産上の利害関係を持つ「第1順位相続人」に限定してきた。
しかしA氏側は、失踪宣告審判請求書に不在者と義弟・義兄関係で第1順位の相続人ではないが、失踪宣告なしには相続財産を処分する方法がない立場であるという点を強調した。また、失踪宣告は、住所または居所を中心に司法的法律関係だけを終了するものであるため、外国に居住する義弟の権利が侵害される可能性がないという点で、裁判所が相続の利害関係人の範囲を幅広く解釈する余地があると主張した。
A氏の依頼を受けて失踪宣告審判請求書を作成したパク・ヨンドク法務士はこのような点を積極的に疏明し、裁判所の認容決定を受けた。
パク法務士は「既存の判例があっても、事件の特別な事情と具体的な妥当性を十分に疏明すれば裁判所の認容を受けることができると思った」とし「時間がかかった事件であったが、依頼人の苦情を解決してやりがいがあり、 市民の権益を保護しようとした」と説明した。
オ・ヨンナ大韓法務士協会代弁者は「今回の事件は家庭裁判所が既存判例の趣旨を幅広く解釈し相続人の立場で便宜と権利を保障してくれた意味ある決定」とし「何よりも法務士が民生と直結した非訟事件において実力と熱意を持った法律家という点を証明した事件で大きく歓迎する」と話した。
出典:韓国法律新聞
日本経営ウィル税理士法人
韓国税務担当 顧問税理士 親泊伸明
韓国税務担当 李 榕濟(イ・ヨンゼ)
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